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CVP(接触式レーザー前立腺蒸散術)について

前立腺肥大症の新しい手術

これまでは経尿道的前立腺切除術(尿道から内視鏡を挿入して電気メスで前立腺を少しずつ切除する手術)を行ってきましたが、レーザーを使用することで、出血の減少、術後の痛みの軽減、術後の尿道カテーテル留置期間の短縮が期待できます。近年欧米ではレーザーを用いた蒸散術が主流となっており、より安全で負担の少ない治療をおこなえるようになりました。

CVP(Contact laser Vaporization of the Prostate)は、前立腺の肥大組織に高熱を与え、組織中の水分や血液を一瞬で沸点に到達させて蒸発させ、組織を気化して消失させてしまう手術方法です。 従来の前立腺肥大症手術と同等の効果を見込め、より安全性の高い低侵襲手術となります。

CVP(接触式レーザー前立腺蒸散術)とは?

尿道から挿入した内視鏡を通してレーザーファイバーを挿入し、肥大した前立腺組織を蒸散することで尿道の閉塞を取り除き、排尿状態を改善します。

前立腺組織にレーザーファイバーを接触させてレーザーを照射することで、前立腺組織に高熱を与え、組織中の水分や血液を瞬時に沸点に到達させ、組織を加熱気化させて消失させてしまう(これを蒸散といいます)低侵襲の手術方法です。強い蒸散効果と止血効果によって、安全かつ効率的な手術が可能になります。

高出力のレーザーで蒸散するため従来の手術に比べ出血量が少なくなります。また組織回収もしないため手術時間も短くなります。

CVP の利点

  • 出血が少ない

  • 抗凝固療法中でも手術の検討が可能

  • 尿道カテーテル留置期間が短い(通常 1~2日)

  • 術後の痛みが少ない

  • 入院期間が短く、比較的早期に通常の生活に戻れる

前立腺とは? 前立腺肥大症とは?

前立腺は、膀胱と陰茎の間に位置する、クルミほどの大きさの男性固有の器官で、精液の一部を作る機能をもっています。この前立腺が加齢とともに肥大することにより、尿道を圧迫して排尿障害の原因となるのが前立腺肥大症です。前立腺肥大症は年齢と深い関係があり、50歳代で症状が出始めて、60歳をすぎると大半の方が夜間頻尿や尿線低下を訴え、65歳前後で治療を開始する方が多い状況です。

前立腺癌と異なり前立腺肥大は、良性疾患ですので生命に関わる病気ではありませんが、進行する疾患ですので治療を行わずに放置した状態ですと、前立腺は徐々に大きくなって尿道への圧迫が強まり、尿閉(尿が全く出なくなる状態)になることがあります。また、尿閉で膀胱内に尿が溜まった状態では、尿路感染症や前立腺炎・腎盂腎炎を発症し敗血症にいたることもあります。

 

前立腺肥大症の進行度分類は、症状により次の3期に分類されます。

第1期:膀胱刺激期

  1. 排尿回数の増加:特に夜間に数回(通常2回以上)、尿意を感じて目を覚ますことがあります。

  2. 尿意切迫感:急に尿意をもよおし、トイレに間に合わない感じがします

  3. 切迫性尿失禁:トイレにたどり着く前に尿が漏れてしまいます

  4. 軽度の排尿困難

  5. 遷延性排尿:トイレに行ってもすぐに尿がでない症状です

  6. 苒延性{ぜんえんせい}排尿:尿をしている時間が長くなる症状です

 

第2期:残尿発生期

  1. 腹圧排尿:お腹に力を入れて、いきまないと尿が出ない状態

  2. 残尿:排尿後に、膀胱内に50〜100mL以上の残尿量がある状態です

  3. 昼間の頻尿

  4. 急性尿閉:飲酒後や長時間座った後、風邪薬などの影響で尿が突然出なくなる症状です

 

第3期:慢性尿閉期

  1. 膀胱収縮能低下:排尿や尿意をもよおすことが低下する状態です

  2. 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁:尿がだらだらともれる状態です

 

前立腺肥大症の治療には、薬物治療と外科的治療があります。

一般的には軽症の方(第1期および第2期)は薬物治療を行いますが、効果が現れなかった方や、症状の進んだ方(第2期と第3期の一部)には外科的治療が行われます。第3期まで進行した場合、膀胱機能の低下する方もいますので外科的治療のみでは解決できなくなることもあります。

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